京式部だより

「出張茶懐石『三友居』さんに京式部学生アンバサダーがインタビュー!」

三友居の山本寛さん、御料理 井傳の井山和彦さんにインタビューをさせていただきました。本記事では後編として、京都と東京で出張茶懐石や仕出しを営む三友居さんに、茶懐石における米の重要性や京式部との相性について伺いました!

 

あまり理解できていなかった「会席」と「懐石」の違いを丁寧にご説明いただき、なるほど!そうやったんや!という学びの連続でした。日本人とお米の深い関係を再認識する、素敵なお話をお聞きしています。

 

それでは、インタビューをお楽しみください‼(取材日:2021年12月6日)

 

『お米の一生を、席を通じて味わう』

京式部インタビュー

↑インタビューの様子(左から御料理井傳の井山和彦さん、三友居の山本寛さん、京式部学生アンバサダー)

 

ポリスタ(以下、ポ):そもそも茶懐石とはどのようなものですか?

 

三友居の山本さん(以下、三):まず、「懐石」と「会席」のふたつがあるんです。

宴会の会席では最後にお米が出てきますが、茶懐石の場合はいきなり最初からお米と味噌汁と向こう付け※が出てくるんです。

 

会席はお酒を飲んで料理を楽しんでっていうのが目的なんですね一方茶懐石のメインは濃茶を美味しくいただくことなんですよ濃茶は少々刺激が強いので、お腹になんか入れておきましょうということでお米が先に出ていたそうです。

 

たった今、あなたのためにお料理をご用意しました。」ともてなす意味でも、最初は炊き立てのご飯が出されるんですよ。初めはべちゃべちゃのごはんなんですがそれが三回出るんです。そうすると、だんだんお釜の中で炊けていって最後に湯桶※とお漬物で食べる頃にはおこげになっている。

 

御料理 井傳の井山さん(以下、井):実際私も茶懐石をたまにやるんですけれど、お米の一生を味わうんですよね。席に座って炊き立てのべちゃべちゃのごはんが出ても、誰も怒らへんのですよ。「べちゃべちゃやん、これ。」じゃなくて、生まれたてのお米として味わう。そこから生まれたてのお米が固まってしっかりしてくる。そして最後におこげができる。お釜の縁についているお米も食べる

 

三:茶懐石で面白いのが、最初に一文字っていう形のお米が出るんですよ。ご飯がピラミッドみたいな山になっている。これは流派によってお米の盛り方が違うんです。他にいろいろな盛り方があるんですよね。炊き立て以外にこういった決まりもあります。

 

ポ:そうなんですね!では、その茶懐石にまつわるお米の重要性を教えていただきたいです。

 

三:お米の一生を味わうというのと、お櫃にご飯を入れてみんなで取り回すことですかね。お料理もお酒も出るけど、常に飯器が席を回る。一汁三菜とよく言いますけど、そこに入らんぐらいお米はあって当たり前ですね。茶懐石にお米は欠かせない

 

ポ:お米が最初と最後に出てくることに、お米の重要性が関わっているんですかね。

 

三:和食のごはんの位置、どうなんですかね。

 

井:最初にスター登場か、後かってことなんやろね。加賀百万石とかの石(ごく)っていうのはお米で、昔はお米で価値が決まっていたんです。お金よりもお米が流通して、江戸時代までは日本の経済を支えて、かつ人民のお腹も満たしていた。殿様もお米で生きていた。やっぱりお米っていうのは日本人にとって尊い存在なんかなと。農家の方がお米を作って尊ばれる理由にはこうした基本がある。日本の文化もお米を中心に回っているのかなと。

 

三:昔、米穀を扱う商いは許可制だったんですよね。それが戦時中に配給制に変わりました。

その後、都道府県知事の登録を受けた販売業者だけが許可制で売れるようになって、平成の登録制でようやく米屋以外の販売店も売れるようになったんです。現在は届出制です。

こういった経緯があるので、それだけ特別といいますか。お米に対しては非常に敏感ですよね。

 

井:今でも災害とかあるとお米を心配しますよね。一時期タイ米が入ってきた時は衝撃でしたね。仕事的にはお米を確保できたんですが、日本人にとってはやっぱりお米が一番大事なんですよね。農林水産業すべてにリスペクトがあります。一番象徴的なのがお米なんですよね。

 

ポ:京式部のお米を茶懐石に使ってみたいと仰っていましたがどういった点がそう思いましたか。

 

三:白いお米で見た目が良いというのと、ずっと味が変わっていくのが楽しそうやなと思いますね。

 

ポ:京式部のお米は、白さと綺麗なツヤがあって、粒も大きいですからね。

炊けていくほどに旨味が出て、茶懐石で変化を楽しむのにピッタリだと思います。

家で茶懐石を実践することはできますか。

 

三:お米を土鍋で炊いてみてはどうですかね。

是非作ってもらって、お米の一生を感じていただきたいです。

 

ポ:私たちも京式部を土鍋で炊いて家で茶懐石を実践してみたいです。

お話の中で会席と懐石の違いなどがよく分かり、三友居さんのお米に対する強い思いも知ることができました。

 

ありがとうございました!

 

※向こう付け:懐石料理でお膳の中央より向こう側に置く、刺身・酢の物などの料理のこと。

※湯桶:懐石の最後に出される、お焦げに湯を注いだもの。

↑左から三友居の山本寛さん、御料理井傳の井山和彦さん、京式部学生アンバサダー3名

 

【『三友居』基本情報】

旬の京食材を堪能できる懐石料理のお店。店名の由来は中国の詩人・白居易の詩の一節。

「琴を奏で、酒を酌み交わして詩を吟じられるような、人生を豊かに楽しむ場所」

店舗住所:京都本店:京都市左京区北白川久保田町22-1

茶室塵外室:京都市左京区銀閣寺前町53

茶懐石イメージ

↑三友居の茶懐石イメージ画像

 

【『御料理 井傳』基本情報】

明治40年創業。四季折々の京の旬を活かした仕出し弁当、会席料理を提供。

店舗住所:京都府京都市中京区錦小路通西洞院東入ル

ホームページ:https://k040300.gorp.jp

 

【京式部学生アンバサダーについて】

「同志社大学政策学部学生広報スタッフ“ポリスタ”が京式部学生アンバサダーになりました!」

https://kyoto-kome.net/article/article-1638/